◆初めに

このページは、今回夏の新刊『む〜に〜ず!』の作者からの解説がほしい、という意見をいくつか頂いたので作ったものです。
漫画の内容を文章でいちいち語るなんていうのは蛇足の極みではあるし、性質上本編のネタバレがずらずらと描いてあるので、
本編を読んでいない方、読んではいるけれど解説などいらないという方は回避してください。
…いや、読んでない人にはこっち読んでから本編読むと、逆に吹く気もします。まあそれでもいいのかなw
あとはまあやはり、こんなの作っておいて言うのもなんですが、
ここの文とは別の解釈で貴方がなにか感銘を受けているのであれば、どうかそちらを信じてください。わたしはそっちのほうを大事にしたい。
あと、原作をよく知らない人に向けて一応言っておきますが、設定に関しては半分くらいわたしの勝手な解釈。妄想ですよ。





なわけで、ええと…本編あとがきの最初の項から続けて読んでもらうとわかりやすいかもです。


制御はできていても、大きすぎる力を持っていること自体は怖い。
手に入れたものを失くすことも怖い。
ラストで紫が怖いと言っているのは、大妖怪『八雲紫』。
いきものとしての彼女から見た、力の象徴としての彼女自身です。

孤高を保たなければならず、また幻想郷の管理者として強い力を誇示しなければならない彼女が、
幻想郷の誰にもそんな弱音を吐けるわけはなく、
できるのはせいぜい、傍らに寄り添う『犬』に一人ごちるくらい。
「王様の耳はロバの耳」と井戸に叫ぶ、みたいなものです。
ただ黙って受け入れてくれるだけ、それが時には一番救われる。
そのために、紫は藍をあえて『道具』と定義づけています。


藍は元は、白面金毛九尾の狐。 連れ合いを求めて三国を渡り歩きますが、所詮は人と妖。
力が違いすぎるため、愛する相手を国を壊し、繰り返すうちに怖くなり、さらに試し続け、
結果、逃げて逃げて、紫の元まで辿り着いています。
その経験から、藍は紫に対してはもう試すことを抑えているのですが、
壊したくないからこそ、自分が本気を出したら相手が壊れてしまうのではないか、
それを確かめたい、という感情が依然残っています。

そして、藍本体の力は紫には及びませんが、紫の式を当てられた藍は、紫と同等の力を持ちます。
即ち、紫の式としての藍だけが、紫を倒すことができます。

その藍の本性を開放し、自分を弱者の姿に変えて、

紫は『自分を壊せ』と式を打つのです。

しかし、式として動くこと自体を自分の感情で選択している藍が、
そんな式に従えないのも、紫は知っています。
そして、式を外してしまえば、藍はどうしたって、紫を壊すことはできない。

それを全て見越して「壊せ」と式を打ったことに対する『ごめんね』で、
そこで式を無視して、自分を守ってくれることに対しての『ありがとう』です。

壊れないか試させてあげるから許してね、と、ちょっと付け加えて。


…という、お話なのでした。


やっていることは、言ってしまえばただの我侭、自傷で、もちろん本気で相手と自分を壊したいわけでもなく。
お互い相手にしかできない、全力の恥ずかしい甘え。
誰も見ていないところで密かにすることだけが許された、ほんの戯れ。

夢心地で、熱にうかされたような…でこのタイトル、なんてのはさすがにこじつけすぎですかw
オムツまんがだったんだけどなあ、最初はw


そんなことを踏まえてもいちどめくって頂けて、何か得るものがあれば幸いです。
なんかもう恥ずかしいのですが!こんなところまで読んでいただいて、本当にありがとうございました!!